【睡眠コンサルタントコラム】赤ちゃんや家族のためのママの睡眠
乳幼児睡眠コンサルタント『ねんねのかな』様とのコラボ企画。
今回のコラムは、赤ちゃんや家族のために時間を使ってしまい、ついつい後回しにしてしまいがちなママの睡眠をテーマにしています。睡眠が大切であることはママをはじめ大人にとっても同じこと。睡眠コンサルタントの三橋かなさんにまとめていただいたので、忙しいママにもぜひ見ていただけると嬉しく思います。
ママが寝ると、家族も幸せになる。
初めての赤ちゃんとの生活は、愛おしさや幸せを感じますが、毎日精いっぱいで身も心も疲弊してしまうということも少なくありません。「みんなこれくらい耐えているのに」と、自分の身を削っていないでしょうか。真夜中の授乳、泣き止まないわが子…日々の様々なお世話や対応に追われ、多くのママたちが十分な睡眠をとることが難しくなります。
ただ、「睡眠をとれないことがママの当たり前」とは思わないでほしいのです。長期間の寝不足が続くと、ただの疲れではなく、身体的・精神的な健康を脅かす要因となります。今回は、産後ママの睡眠不足がもたらす影響と、ママの睡眠の重要性についてお話していきます。
“睡眠不足の放置は、命にかかわる”
睡眠時間が極端に短いと、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病などの発症リスクが高まることが、近年の研究で明らかになってきています。また、産後のママの命にかかわる産後うつリスクを増大させることも知られています。細切れ睡眠や睡眠不足は仕方ない、と長期的に放置しておくのはとても危険です。
産後うつは、誰でもなりうる。
産後うつは、10~15%のママに見られます。「産後うつ」と似た症状に、「マタニティブルー」がありますが、こちらは産後数日以内に気分の落ち込みがみられ、時間の経過とともに気分が落ち着き、2週間以内位に治まる一時的なもの。と言われています。産後うつは、1日中、抑うつ気分が続いたり、今まで楽しかったことにも興味がなくなるなどが2週間以上続き、日常生活に支障をきたした場合に診断されます。
産後うつは、産後の一時的な心の変化によるものではなく、うつ病という「脳の病気」と言われ、誰でも発症する可能性があるものです。
産後のママは、急激なホルモンバランスの変化、子育てへのプレッシャーと緊張感、慢性的な睡眠不足や疲労などといった心身のストレスによって、産後うつの発症リスクが高いと知られています。
産後の女性の死因の第一位も自殺です。自殺した女性の多くは産後うつであったという報告もあるほどです。
最近は、パパの「産後うつ」も聞かれるようになりました。ママにメンタル不調(抑うつ傾向)がみられる場合、パパにも同様の症状が見られることが多いようです。
睡眠不足は、誰も幸せにならない。
産後は、睡眠不足になることが多いです。ただ、「夜泣きだから耐えるしかない。」ではなく、しっかりとした休息や睡眠がとれないことが辛いのであれば、夜泣きを改善するメソッドがあります。赤ちゃんの夜泣きからくる親の睡眠不足は、真っ暗で快適な睡眠環境を保つことや赤ちゃんの生活リズムを整え、月齢に合ったお昼寝をしっかりとることなどで、改善されます。
睡眠不足の中での育児は、自律神経の乱れを引き起こし、めまいや頭痛、倦怠感や動機といった様々な症状が現れたり、感情コントロール機能の低下から、夫婦での衝突が多くなりやすかったりと、家族にとって良いことはありません。
ママは、ショートスリーパー?
2500人以上の睡眠相談にのってきた中で、「私はショートスリーパーだからなんとかやっていけているが…」と言われるママがおられます。ちなみに、ショートスリーパーとは6時間未満の短眠者、ロングスリーパーとは9時間以上の長眠者を指します。実は、6時間未満の睡眠でも十分健康を維持できる、短時間睡眠体質の方は非常に少なく、正確な割合は調べられていませんが、人口当たりの約1%未満と考えられています。
ショートスリーパーであるというよりは、短時間睡眠でも気力で乗り切っている可能性が高いかもしれません。その状態が続くと精神的にも身体的にも様々なリスクが増します。
ぜひ、パートナーや外部の助けをかりて、ママが一人でゆっくり休息できる時間を設けてください。自分に合った睡眠時間を知ることも、「健康的に暮らし続ける」ために大切です。
ママが寝られるようになる鍵は、赤ちゃんの睡眠を整えること。
赤ちゃんが生後3ヵ月頃から、起床時間をある程度定め、メリハリのある生活を送りましょう。朝のうちに、親子での外気浴や軽めの運動、しっかりとバランスの良い栄養を摂ることは、夜ぐっすり眠れる身体を作ります。生後3ヵ月頃になると昼夜の区別がつきはじめ、夜にすこしまとまって寝るようになります。お昼寝をとらないほうが夜しっかり寝てくれると勘違いされる方も多いですが、お昼もこまめに寝かせてあげて、ヘトヘトの状態で就寝をむかえない。というのも大切です。
赤ちゃんが泣いている理由は様々ですが、おなかがすいた、うんちが不快、暑い寒い、体調不良などそれ以外に、「眠たいけど自分で眠れなくて誰かの手を借りたくて泣いている」という場合も。授乳やミルク、抱っこで寝かせるのが悪いわけではありませんが、赤ちゃんが自分で寝られるようになると、きっとママもパパも楽になるはず。自分で眠る力を高めるために、泣いていても”少し見守ってみる”=自分で寝るチャンス時間を与える。という意識ももってみてくださいね。
ショートスリーパーだから大丈夫?
最後に
"育児はチーム"で乗り切りましょう。"核家族で共働き"という家庭が多い現代。そんな状況の中で子育てをするには、周りの人の手を借りるということが大切になります。まずは、パートナーと協力をすることも大事ですが、2人だけで乗り切ろうとせず育児・家事を外部に任せることを積極的に検討してください。
「一人じゃない」と思えたら少しは気が楽になるはず。ママが疲れて眠りたいときに、手を借りてもいいんです。しっかりと寝られるようになると、ママもご機嫌になり、赤ちゃんのお世話も余裕をもってできるようになりますよね。ママが眠れるようになることは、家族の幸せをもたらすのです。子どものためにも、ぜひママの睡眠時間を確保してくださいね。
参考資料:
健康づくりのための睡眠ガイド2023:001208247.pdf (mhlw.go.jp)
この記事の監修・執筆
赤ちゃんのねんねアドバイザー『ねんねブーケ』様
三橋かなさん
国立大学教育学部を卒業後、ラジオDJを経て、アナウンサーとしてテレビ局に入局。情報番組や生放送、選挙番組などを担当。地域に密着した取材やディレクションも行い、地域の魅力を様々な角度から発信していたが、結婚後退職。
2015年長女出産・2018年長男出産。長男のねんねトラブルに約4年悩み続け、乳幼児の睡眠を猛勉強。"夜泣きは科学的根拠に基づいて改善できる"ということに衝撃を受け、日本で夜泣きに悩むママを一人でも少なくしていきたいと、活動の場を広げている。
小中高校教員免許や離乳食資格を保持し、心の発達や気質・栄養面についても合わせてアドバイスを行う、トータルアドバイスが好評。
まとめ
いかがだったでしょうか。
分かっていてもなかなか時間が取れないものですよね。睡眠アイテムや外部のサービスも選択肢に入れながら、ママにあった改善方法を見つけていけると良いですね。ママも赤ちゃんも過ごしやすい生活を心から願っています。